第39回卒業生御寄稿「みどり葉ってすごい」

第39回卒業生
二村千津子
「ふたむらさんは番組の中の異物なんだよね。だからアクセントになるし、必要」と言われたことがあります。
あ、はじめまして。二村千津子と申します。ここ15年くらいは気象予報士として仕事をしています。現在はテレビ局で気象コーナーを作るディレクターをしています。この原稿が皆さまの目に届く頃には何を生業にしているかわかりませんが(笑)
冒頭の言葉は、私が気象キャスターとしてテレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー 」という番組に出演していた時に言われました。確かに、当時「なぜこの人が?!」と業界でもざわついたという話を後々耳にすることもありました。それもそうかもしれません。私がこの番組に決まったのが44歳。おそらく当時の地上波でレギュラー出演していた女性気象キャスターとしては最年長だったでしょう。その仕事に就くまでには、大学卒業後のホテルマンから始まり、地方局の契約キャスター、専門学校の講師、ホステス、気象会社の派遣社員(この期間中36歳で予報士の資格を取得)、地方の気象キャスターなどなど、仕事のある場所を転々とし、消息不明リストにのるような生き方でした。
こうした経緯のなかで、だんだん人と比べる、ということをやめ、自然体で仕事に取り組むようになりました。羽鳥さんの番組でもそれは同様で、個性豊かな出演者の中で私はいたって普通だったんだと思います。そんな私を先ほどのように「異物」と言う方もいれば「唯一無二だね」と言う方もいました。まあ、この唯一無二な生き方は、決してオススメはしませんけれど(笑)。
唯一無二という意味では、2017年から7年間、NHK福井放送局で気象情報を担当した番組でも本当に自由にやらせていただきました。スタジオでライブで料理をしたり、山登りではカメラマンさんにもマイクをつけて喋らせたり…技術スタッフさんたちを悩ませてしまったかもしれません。でもやりたいと思うことはひとまずチャレンジ。誰もやらなかったかもしれないけれど、唯一無二の取り組みは独りぼっちではなく、多くの人との絆を生むことができるということを実感しました。

さて30年ぶりに福井に戻り、出会った同級生たちは、感性や仕事もバラバラで、だけど社会に貢献していて、自慢したくなるような友人ばかり。例えば・・・ あ、実名は控えますね(笑)大きな同窓会をきっかけに、先輩、後輩問わず、あの人もこの人もみどり葉なんだ、「みどり葉ってすごいな」、「みどり葉って唯一無二の集合体だな」と感じました。
高校時代、藤島高校の裏に住んでいた私は、「なんで藤島じゃなかったんだ」と感じながら、毎朝、藤島の脇を通って通学していました。でも、いまは、高志高で過ごせてよかった!学力はどんどん下がり、ときめきも何一つ成就しなかったけれど、唯一無二の人間にしてくれてありがとう!と感謝の気持ちでいっぱいです。
これからも風来坊な生き方になるかもしれません。でもいつも「おかえり」と迎えてくれる仲間がいるからこそ安心して消息不明になれる気がしますし、いつかは、福井に腰を落ち着け、福井を盛り上げ、福井を守る、そんな仕事に携われたらなと感じでいます。