第38回卒業生御寄稿「伝統ある高志高校に更なる期待を」
第38回卒業生
小林 秀司
年始に起こった能登半島地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表しますと共に、被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
私は高校時代、家が近いにも関わらず遅刻の常習者で、またタバコを吸って見つかるなど先生方に時折(?)ご迷惑をおかけしました。でも、多くの仲間と明るく充実した高校生活を送り、私の人生の礎を築いた良き思い出は今でも深く心に刻まれています。恩師や両親のサポートもあり、当時では珍しい米国の大学に学校推薦で進学しました。英語も話せない中、相当苦労もしましたが、異質な文化に多くの刺激を受けつつ、高志高校で培った人間力とバイタリティで何とか卒業しました。
大学卒業後、大手総合商社に就職、以来、同社の食料関連事業に携わっています。日本は食料自給率が38%(カロリーベース)と多くの食料を海外に依存しています。特に基礎食料となる小麦、とうもろこしなどの穀物は、その太宗を輸入で賄っており、日本の食料安全保障には、良好な品質・合理的な価格での食料の安定的輸入が欠かせない状況となっています。
日本の消費者の皆様を陰ながら支える食料調達の仕事をして30年強が経ちました。会社では多少なりとも偉そうに振る舞っていますが、家では二人の娘のしがない父(?)として、公私共に忙しい毎日を過ごしています。
さて、バブル崩壊以降、日本は諸外国と比較し、長らく経済的に低迷しました。また人口は成熟期に入り、今後人口減少、高齢化社会が加速度的に進んでいくと見られています。工業立国の日本は、昨年、自動車輸出において遂に中国の後塵を拝しました。また、今後、世界的に需要が大きくなる情報通信関連サービスでは、貿易赤字額が年々上昇、今や同セクターでの赤字額は7兆円を超えています。国土が狭く、食料の多くを輸入に頼らざるを得ない日本にとって国際競争力の低下は大きな心配事です。
斯様な日本を活性化させ、経済的にも高い生活水準を持続するには、やはり若い次世代の力が必要だろうと思います。世界に通じる柔軟且つ論理的な思考能力と、将来の技術革新や世の中の変化に対する強い興味、そして何よりバランスの取れた人格、高等教育はその最前線となるまさしく重要な位置づけです。
2022年11月にサービスを開始したChat GPTは衝撃的でした。スマートフォンがこの世に出て約15年。我々の生活様式、仕事のやり方、情報収集や日々のコミュニケーションの仕方、全てが大きく変容しました。AIは更に大きく我々の生活を変えていくことになろうと思います。是非、来る世の中の変化に強い興味を持ってもらえる人財の育成を期待しています。 伝統ある母校高志高校は、これまでも多くの素晴らしい人財を輩出してきました。高校時代は人の育成に重要な時期です。今後も、地元福井、そして日本、更には世界で活躍出来る人財を輩出し続け、教育機関としても益々発展していくことを願っています。