『みどり葉』2024年3月号

恩師御寄稿

成川 雅一 先生

 みどり葉会会員の皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。

 今回私のような教師として大した実績をあげていない者がおこがましく寄稿させていただき、恐縮しております。

 私は、昭和58年4月に新採用から2校目の勤務校として高志に着任いたしました。1年目は副担任で、2年目から正担任として持ち上がりで3回計9年間担当して、平成5年3月に10年間の勤務を終えました。

 当時は、藤島・高志学校群選抜制度のもとで新米教師として生徒指導や柔道部指導にそれなりに努力したと自負しておりますが、振り返ってみますと、肝心の数学教科指導は不完全燃焼であったので申し訳なかったという気持ちでいっぱいです。難関大学をめざしていた多くの生徒諸君に、もっとしっかりと応えるべきであったと反省しております。

 現在は某高校非常勤講師として勤務しておりますので、東大をはじめとする入試問題にゆっくりと取り組む時間がとれますが、現職中は余裕がなかったのかなと自分に言い訳しているところです。

 東大数学入試では、単純な知識対応型の定型問題の比率は極めて低く、高度な読解力と思考力・図形的なセンスとひらめき・強靭な論理的思考力・粘り強くすばやい正確な処理能力・計算力等が要求されます。また、バランスの取れた良問が多く、受験生に本当に考えることを要求していますので、数学教育において何が必要で何が求められるべきあるかを静かに提言し続けてきた大学であると思います。

 このような難関大学の入試問題に対応するためには、生徒自身の限りない向上心や継続した努力は当然ですが、指導者である教師が常に情熱をもって学問への取り組み方を徹底的に厳しく教え込み、生徒をその気にさせるように導くことが必要であると強く感じております。

 高等学校学習指導要領では数学の学習を単に知識や技能などの内容の習得にとどめるのではなく、数学的活動を重視して創造性の基礎を養い、高校生の人間形成に資する数学教育を意図しているとなっております。

 現在高志に勤務されている先生方も、前途ある生徒諸君の夢や希望を実現させるために、転出後に悔いを残さないようにぜひともしっかりと教材研究に専念していただきたいと願っております。 最後になりましたが、みどり葉会や高志高等学校の益々のご発展をお祈り申し上げます。

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